天皇の憂鬱
「天皇の陰謀」を読んでいるところですが、私も含め、学校ではその時代をあまり習っていない気がしてならない。高校時代は受験勉強に忙しく、いわゆる戦中、戦後の歴史をまったく駆け足で通り過ぎ、ほとんどを、「こんなことがあった・・・」程度で済ませ、興味を持つ人は本を読むか、または映画やテレビで知識を補ったものと思う。
いうまでもなく、それらの映画やドラマ、そして御用学者の書いた「結論ありき」のノンフィクション物は完全に偏向しており、シーグレイブ氏やバーガーミニー氏のような書物に出会うと従来の知識はなんだったんだろうと驚くことになる。どちらが正しいかの判断は自由であります。 とにかく「天皇は軍部の独走を止めることができず、やむを得ず戦争に踏み切った。」という結論に落ち着くようにドラマは組み立ててある。そう思いたい人たちはそう思えばいい。そのほうが幸せならばそれでいい。 私の母も、「もういいの。たくさんの人たちが国のために死んでいったんだから。いまさらあなたのようなことを言ったって死んだ人は生き返らないのよ。」といい、決して真実に耳を貸そうとしない。無理もないか・・・。 歴史の真実が明らかにされるには時間が必要で、関係する人たちが、しかも権力を持っている人が生存している限り明らかには出来ないのだろう。ただし、例えばあるとき、本庄日記の未公開部分が明らかにされたり、木戸日記で未公開部分が発表されたりすれば、現在の歴史教科書は大幅に書き換える必要が出てくるだろう。 また、米国の公文書はよほどのことがない限り公開されることが原則である。今に私の説がまんざらでもないことがわかる日が来るだろう。 さて、二巻から三巻には満州事変から二二六事件に至るまでの事件が書かれている。これらをこの本中心に考察することは公平ではないだろう。またたくさんの抗議を受けるのも億劫である。早い話、たくさんの人が暗殺された、それが偶然の出来事だったのか、あるいはひとつの目的のために仕込まれたものなのかと考えるのではまったく違う世界になってしまう。偶然だったにせよ、計画通りだったにせよ、はっきりしていることは戦争の障害になっていた人物がよくもこれほどうまい具合に殺されたものだと感心してしまうことだ。それは浜口首相であるし、犬養首相であるし、井上蔵相だし、高橋是清たちである。 それらの中で、おそらく偶発だったのは相沢事件と天皇機関説事件であろう。 この天皇機関説事件はまことにわかりにくい話で、YamatoDynastyの翻訳時に少しだけ調べたが、まったく何が問題だったのか理解できなかった。しかし、裕仁をはじめとする南進派にとって極めて重大な事件だったようだ。この件は日を改めて検討する。 いずれにしても、裕仁にとって一番目の上のたんこぶは西園寺公だった。彼は暗殺されることもなく、また二二六事件にもリストからはずされ、要はどちらの陣営からも別格の存在だった。なぜか?たった一人残った元老だからか・・・? 鬼塚氏は彼の著書「日本の一番醜い日」のなかで、裕仁の出自にふれ、彼は西園寺の孫に当たると書いている。大正天皇は子種がなく、節子皇后は幾人かの男と子供を作り、最初に毛利家から養子になった西園寺八郎と関係した。秩父や高松については闇の中であるが、それぞれ父親が違うことは、その顔を見れば予想できるではないか。(僕が言ってるんじゃないよ、本にそう書いてあるって言ってるんですよ。) 裕仁にとって西園寺公に頭が上がらないのもあたりまえか・・・・・。それにしても節子は秩父を溺愛し、二二六事件が本当は天皇を交代させようとする一大クーデターであったという説もまんざら根拠がないわけではない。青森から急遽東京へ戻る道中、高松宮が列車に乗り込み説得したためクーデターが失敗したという。もちろん当日の高松日記には何の記述もない。 天皇裕仁に男子が誕生せず、いっそ廃帝しようかとの論議はあったようだが、そんな時、突然皇后良子は男子を出産した。なにか、紀子さまが男子を生んだ状況と似た話だが、いずれにしても裕仁は絶えず秩父宮の存在におびえていたことは間違いがないようだ。 つまり、裕仁が圧倒的な権力を持っていたと考える方法と、やはりその地位が常に危ういものであったと考えるのと二つの方向からアプローチしなければならないのだ。 ただし、二二六事件が片付き、西園寺が死んだ後は、もう誰も天皇を制御することが出来なかったというのは歴史的事実ではないかと考えます。 なんてことで、また危ない記事を書いてしまいました。
by sibanokuni
| 2009-05-07 09:52
| マヨちゃんの陰謀論
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