シバちゃんのため息

誰も知らないお種の話 第三部 完結編

さあ、いよいよ今日は最終回。それにしても一年間毎日小説を連載する人たちはすごいな。僕は三日が精一杯だ。この小説をくだらない、と思う方もいらっしゃるかと思いますが、言うまでもなく私は本気で書いています。つまり、歴史として点から点へ移りゆく段階は何らかの文献か、もしくは証言がないことには成り立たないわけで、またそれらがあったとしても必ずしも正しい保証はないのです。そこに小説でしか描けない世界があると思う。
今回の小説は奇想天外と言われてもしかたがない。ただ、小説としているが、私としては精一杯真実とはこのようなものではなかったのかと考えた次第である。今後もいろいろな客観情勢から真実の一片が手に入る可能性は高い。それにしても最終的に真実と言うのはその時に、その場所にいた当事者しか知らないことであり、彼等が真実を明らかにしない以上、我々は憶測と妄想でその穴を埋めるしかないではないか。

さあ、ガーター勲章をもらったヒロさんに待ち受けている運命とはいかなるものだったのであろう。

小説 「誰も知らないお種の話」

第三部 八百長戦争

ガーター勲章の授与式はさほど難しいことはなかった。ただ、正式な式典だけに名古屋弁は使われず、ジョージ君は正統派のイングリッシュで語りかけた。
「わが大エビス帝国を中心とするガーター騎士団の名誉あるそのしるしをアジアのお種度の高いパンダ王国の皇太子に授与する。騎士道を守り、名誉ある騎士団に加えられることを望むか?」
ヒロちゃんは英語が苦手であった。「はあ?」ヒロちゃんは思わず奇声を上げた。
後ろに控えていた吉田は冷や汗をかきながら、「殿下、イエスといえばいいですよ。」
「おお、そうか、イエスじゃ、イエスじゃ。」
「そうか、望むのだな。では授与しよう。約束をたがえるでないぞ。」
「はい、YES WE CANです。」
式典はそれだけのことで、実は重要だったのは昨夜の儀式だったのだ。
そんなことで無事に授与式は終わった。

式場を出て控え室で吉田が笑顔で語りかけた。「殿下、ビックリしましたがね、英語ぐらいしゃべれると思ってたのに・・・・。」
「悪い悪い、ちょっと緊張してな・・・」
「殿下、さっそくですが、今後の予定を言っておきます。20年間の予定はすでに出来ております。とりあえず今後の5年間だけをお考えください。」
「えー、予定が出来てるの?」
「はい、左様でございます。」、「で、なにすりゃあいいの?」

「現皇帝は実は薬を調合してありますのでほとんど仕事はできません。従いまして、秋には殿下が摂政になることが決まっております。そこでですね、私たちの予定を邪魔する者どもを順々に処理してゆく必要があります。」
「山県ならもう処分したぞ。」「いえ、一番の問題は西園寺でございます。まあ、重鎮ですし、年も年ですからそう長くはないと・・・」
「うん、彼は苦手じゃな。死ぬのを待つほうがいいぞ。」
「原敬は問題です。」「そうなのか、僕は嫌いじゃないが・・・」
「いえ、だめです。」「ふーん、で、どうするの?」「死んでいただきます。」「えー、うそー。怖いことやめてよ・・・」
「それが済みましたらいよいよ本番に突入しますぞ。」
「本番って?」「はい、パンダ・エビス同盟は破棄されますぞ」「えー、ここへ来たのはそれを継続するためじゃん。」
「それはそうですが、八百長のためには一旦破棄します。」
「訳がわからんわ、もういい。僕は知らん。勝手にやってよ。」
「ええ、もちろんですとも。いいですか、八百長とはいえ、真剣に戦争をします。とにかく中国とアジアの財宝はすべていただけることになっております。また、東インド会社の経営する麻薬ルートもわが国がいただきます。大儲けです。税金と言う税金はすべて戦争に投入してください。全力でアジアを横断します。フィリピンとインドネシアはわが国の領土になります。だからここへ財宝を埋めることにします。戦争が終わってからゆっくりと回収すればいいですから。約束では戦争が終わるころには皇帝の財産は世界有数になるはずです。」
「いいのか、そんなにもらっても。」

ヒロちゃんは驚いていた。何よりもエビス国王室の暮らしぶりには驚いた。本国で何も不自由なく暮らしているとはいえ、この国は桁違いの豊かさである。ヒロちゃんは昨日のジョージ君の述べた家賃保証システムには目からうろこである。
最近、マンションや貸しビルに一括借り上げシステムがあることは聞いていたが、そんな楽なことがあるとは知らなかった。このガーター勲章さえいただけば彼もそのオーナー経営者の一員になれるんだ。

「大丈夫ですよ。ヒロちゃんは世界でもお種度の面でベスト3に入るはずですから・・・」
「ふーん、よく判らんが、そんなうまくいくのかのー」
「大丈夫です。ただ、国民に多少犠牲が出るかも・・・。」、「ふーん、どれぐらいかな?」
「消費税分ぐらいかと・・・・」「なに、たったの?5%って、たいしたことないじゃん。」、「はい、そういっていただきますと非常にありがたいんですが・・・。」
「だって、100人の5%だと5人か・・・・、よくわからないなあー、それって多いの?」
「えー、まあ、5年も我慢すればすぐに元に戻るかと・・・・」
「あーそう、僕が恨まれるのはいやだよ。」「そりゃあ大丈夫です。もうじき皇太子は神さまになりますから。」
「なにー、その神さまって?」「はい、いま教育改革をはじめています。殿下の祖先は天から降臨された神さまという事にします。」
「僕が神さま?うそー、信じられないよ。」「大丈夫です。そのためには神さまになったおつもりで、行動はお気をつけてください。」

「まあ、一番重要なことは、何もお決めにならないことです。その代わり、一度口にされたことは絶対ですから、あまりしゃべらないほうが無難かと・・・・」「む、そうかな。」「そうです、そんな感じです。」「なかなかいい気分だな、一度口にしたら絶対だな。」
「もちろんでございますとも。」「では、今夜、もう一度あのエビちゃんがいいな。」
「あのー、そればっかりは・・・・・・」

実際のところ、ヒロちゃんはこの話がどのようなことを意味するのか深刻には考えていなかったはずである。自分の国の宮殿から外へ出たことはほとんどなく、国民がどのような生活をし、どれぐらいの人口かも知らなかった。もちろん、戦争の現場など知るはずもないのだ。人間が死ぬという事を深く考えたこともなかった。深く悲しみ、後悔するにはそれから何十年も先のことになる。

たしかに彼は世界有数の金持ちにはなる。しかし、戦後全国を巡幸したとき、たくさんの戦死者を出したにもかかわらず、各地で絶大な歓迎を受ける、そのとき彼は驚いたのだ。つまり、国民が自分と同じ人間であることに・・・・・。

世界大戦はこの時にスタートしたといっても良い。パンダ・エビス同盟は破棄され、大麦国はオレンジ計画を開始した。ヒロは側近の言うまま、「あっ、そう。」というだけで何もわかっていなかったのだ。
ヒロが正式に結婚したのは大正13年、島津家を母に持つ良子が皇后に、そしてその姉妹は大谷家と婚姻を結ぶ。
皇帝が崩御するのはそれから二年後、いよいよスケジュールによれば戦争まであと15年であった。

第三部 八百長戦争  終わり

あとがき・・・・・
勝手に想像して描いたものの、こんなことがあったのか、なかったのか・・・・。しかし、第二次大戦がルーズベルト、チャーチル、スターリン、ムッソーニ、蒋介石、裕仁、ヒットラー、これらで合作した八百長であるとするなら、最低限、正式な調印が必要であったはずだ。なぜなら、なんの保証もなしに、誰が考えても無謀としかいえない戦争を仕掛けるはずがない。本気で戦う気なら、緒戦でハワイを占領し、また、マレーシア進軍の後、オーストラリアまで進出していれば、勝てないまでも、アメリカは本土防衛を深刻に考えなければならないところまで追い込まれ、ヨーロッパ戦線に軍を投入するゆとりはなくなったはずである。また、そうなれば間違いなくナチスは英国を亡ぼし、世界を枢軸国が支配した可能性は十分にあるのだ。でも、それは最初から想定されていないシナリオだった。
そう、八百長なのだから。
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by sibanokuni | 2009-06-11 09:55 | 小  説
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