張作霖を殺したのは・・・
月刊日本の10月号、落合莞爾さんの疑史を読み、なんとなくむずむずしていた、が、あいにく余り時間がない。下の記事は昨晩、二時間ぐらい掛けて資料やネットを駆使し調べたものです。
何がむずむずしたかと言えば、薩摩上原元帥の草であった吉薗周蔵がこの事件、つまり張作霖の暗殺事件の内幕を知り、草であることを辞める事を決意するのである。つまり、上原氏が裏で何かを裏切ったことを知った吉薗は自分の親分に失望したのである。もっというなら、国益を損ねたと言うべきなのか? じっくり調べたいのは山々だが、あいにくそれほど時間が取れるわけではない、月刊日本の8月、9月、10月、それにGoldwarriors、もうひとつ、栗原氏の「真贋・大江山・・・」、それと「天皇の陰謀」などを順々に読み、とりあえず結論のようなものを出してみた。実際、参考資料はいくらでも在り、調べだすと一週間は必要だろう。ただ、一点、この事件は誰が考え、何のために起きたのかだけを考察してみた。 内閣の面々、政治状況、それら全部を考えるとそれだけで一冊の本になってしまう。それほどの意味があるとも思わない。不十分ではあるが、一応考察したが、もとより絶対に正しいと言う気はない。ひとつの考え方を述べるだけで、また他の状況から修正する必要はあるだろう。 月刊日本の10月号に、疑史(落合莞爾 第61回)が連載されており、ここ数回は張作霖暗殺についてである。たまには満州関連のお勉強をしよう。 ついでにということで、Goldwarriorsを引っ張り出し、その第二章を見ることにした。まず、シーグレイプ氏は「張作霖の暗殺は、中国の学生が奪われていた政治的金銭的権益の返還を求め、日本商品のボイコットを開始、公然と示唆行為をおこなっていた。そして、その裏に張作霖がいることを知った日本軍は彼を殺す事を決定した。暗殺は河本大佐で、日本政府も承知の上で実行する。」と書いている。(相変わらず下手くそな翻訳だ・・・・ところで、日本政府とは誰を言う?) 落合氏によれば、田中義一と蒋介石が会談し、交換条件を出す事で暗殺が決まったとある。つまり、蒋介石は満州の租借と引き替えに軍閥の一掃、即ち、張作霖を亡き者にするということである。つまり、田中義一は暗殺を知っていたとなる。しかし、吉薗日記によると、陸軍の人事権を握る田中と宇垣は上原とは不仲なのに、上原元帥が暗殺に関与しているというのである。 その前月号(9月)には、張暗殺を知った吉薗は、上原元帥がそれに関わっている事に気づき、「これで一番困るのは田中義一である。」と書いている。これでは少々つじつまが合わない。なぜ田中が困るのだ?落合氏の記事でこれはわからない。 wikiを見よう、「同年(1928年・昭和3年)に起きた張作霖爆殺事件に際して、田中は国際的な信用を保つために容疑者を軍法会議によって厳罰に処すべきと主張したが、陸軍の強い反対に遭ったため果たせなかった。このことを野党立憲民政党に批判され、また昭和天皇にも「(この事件を犯人不明としてその責任者を単に行政処分で終らせたといふことは、帝国の陸軍の綱紀を維持する所以でないといふことを御軫念になり、田中総理に対し)お前の最初に言つたことと違ふぢやないか」と強く叱責され、「(奥には入って鈴木侍従長に)田中総理の言ふことはちつとも判らぬ。再びきくことは自分は厭だ。」[3]と勅勘をこうむったため、田中は涙を流して恐懼し、翌1929年(昭和4年)に内閣総辞職した。」、とある。独白録で、「あれはちょっと・・・」と天皇が後悔したところである。軍の統帥権は天皇に属し、田中には何の責任がなかったと言うのに・・・・。 この数ヶ月後、田中は病死する。誰もそれを病死とは思わなかっただろう。 結局のところ、田中は暗殺というより、蒋介石の邪魔はしないよという言質は与えたのであり、暗殺までは考えていなかったとするしかない。なのに、暗殺が行われたため、驚き、怒り、本気で厳罰を与えるつもりだったが、上原元帥が関わっていると知り、処分を断念することになったのだろう。こう解くべきだ。 不思議なのは、軍部はこのにち中国側の報復を予測し、東京からさらなる援軍を送らせ、ついでに満州を占領しようと考えるのだが、内閣は援軍を送らず、満州の占領は石原莞爾の陰謀まで待つ事になる。 結果的に言って、これは上原元帥が田中義一の失脚と、張作霖の暗殺で、皇道派の構想である中国分断政策を妨害する策謀であったと言う事であろう。少なくとも結果的にそうなる。 戦前の話は恐ろしく難しく、専門家からみれば素人の分析などと笑われそうであるが、従来の史観に拘束されない分、単純に読み解く事が出来るのだ。 解説しよう。本来、田中義一を中心とする陸軍は張作霖と協力し、清国から譲り受けた満州を経営し、清王朝を満州へ避難させる。そして中国本土は国民党と共産軍で戦わせるつもりだったのである。張作霖と協力関係にあれば清から譲り受けた満州の租借権は正当であり、西欧諸国も手が出せない。ところが張作霖が殺され、その息子、張学良が蒋介石の南京政府に統合されるや、日本が満州にいる正当性が国際法上無効にされるところとなる。 これこそ英国式ワン・ワールドの陰謀たる所以で、みごと罠にはまった日本は満州租借件を失い、世界中から孤立を深める事になる。ちょっと無理があるかな?つまり、張作霖暗殺は国益を損ねたのである、そしてそのトップに吉薗の親分、薩摩上原元帥がいたという事である。教科書に出てこない歴史とはこのようなことなのだろうか。 こんなややこしい話はほとんどの人が興味を持たないと思う。ただ、こんな些細なところに巧妙なうそが盛り込まれ、国民を洗脳してゆくのである。
by sibanokuni
| 2009-10-01 06:16
| マヨちゃんの陰謀論
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