シバちゃんのため息

チベット潜入8年間のお話

工作員としてラマ僧に成りすまし、単身で8年間にわたってチベット、インドに潜入した西川一三氏の記録、「秘境西域八年の潜行(抄)」をようやく読み終えた。聞いた事のない地名や、想像もつかない砂漠地帯の生活、いずれにしても任務とはいえ、大変な事をしてきたものである。
特に知りたいと思ったのは、工作員としてどのような使命を持ち、どんな工作をしてきたかだが、残念ながらその点についての収穫はゼロである。もともと草となって現地人のなかに溶け込み、いざ何かあったときに連絡役を果たすのが任務だったのかもしれない。それにしても最初のラサの進入後、インドへ向かう途中で終戦を知ったのである。なぜそれから4年近くもインドとラサを往復する必要があったのか、いまいち合理的な説明だとは思えなかった。もちろん英国の支配下にあるインドで出頭すればスパイとして処刑される恐れがあったのだろうが、なにももう一度ラサまでもどる必要もないのに・・・・。
ラサとインドで数回、木村という仲間と接触したと書かれている。最終的にその木村がインドで自首し、その自白によって西川氏もインド当局に保護される(逮捕?)ことになる、が特に戦犯として裁かれることはなく無事に日本に帰還した。
一番彼が精力的に活躍したのはラマ僧としてラサのラマ教寺院で生活し、教団の内部状況、そしてラサ地域の事情に精通した事であろう。
これは私の勝手な想像だが、インドで英国諜報部に雇われ、4年間それに協力したという可能性はないのだろうか、どうであろう。これも本人が告白しない以上謎とするしかない。そうでなければわざわざラサまでもどり生命の危険を顧みず情報収集をした理由が見つからない。
単なる物好きか、あるいは命令が解除されていない以上敗戦にもかかわらず任務を遂行していたのか・・・・、わからないですな。ただ、フィリピンには今でも日本兵が任務を遂行しているという噂もあり、厳格な日本軍人ならやりかねないのかも・・・。

この本で一番興味深いのはラサの住民の生活である。ダライラマを中心とした貴族に対し、乞食のような住民が暮らすラサは、秘境の中で平和にそして幸福に暮らしていたとはいえそうにもない。p321以降に書いてあるラサの裏口に案内しようという言葉から開始する貴族階級の僧侶の生活ぶりと、住民のメチャクチャな貞操概念は思わず、日本人でよかったと思わせるものがある。。貞操観念の話は割愛するとして、貴族にたいしては「政府の首脳部である彼等は、小作人の利益の為にはたらくというより、いかにして彼らから少しでも多く搾取するかしか考えないのである。」と書く。そしてチベットの官憲はシナの官憲以上に危険であり、一度暴動が起きると、民衆は暴動よりもそれを鎮圧しに来たチベット軍のほうから受ける被害の方がはるかに大きい事を昔から知っているそうである。
フリーチベットを叫び、中国の不法を叫ぶ人たちに、ダライラマ支配下時代のチベットをまず知っていただく必要があろう。チベット住民が中国人を嫌っているのは事実だが、幸福という点ではおそらく現状の方がはるかに人間的なのは間違いないようである。マスコミの、あるいは亡命政権のプロパガンダを信じるのはそろそろ卒業された方がよいのではないか?

もうひとつ、インド人は英国人を嫌っていて、日本軍が早くインドへ進出してこないかを待っていたと彼は言う。インドの共産党は英国にガンジーらの独立運動の情報を密告し、つまり彼等が国を売ったがため英国はまんまとインドを支配したのだ。その後、スパス・チャンドラ・ボースと共にインド独立を戦った将校全員を軍事裁判にかける。それをガンジーや、ネール以下の幹部はもちろん、国民全員が弁護人となり無罪を勝ち取ったのだ。東京裁判史観では東南アジアで繰り広げられた独立運動に対する日本の功績をないがしろにするが、日本軍の影ばかり見るより光の部分も見ることは必要なのだろう。
日本国民は祖国のために命をかけて戦った軍人が戦犯として裁かれるのを見て見ぬふりをし、本当の戦犯を追及しようとしなかった。それは今でも解決していない。なぜなら戦争を始めた人間が未だに日本を支配しているからである。
主人公は八年間の潜入を終えて日本に帰ったとき、係員から1000円をもらったと言う。当時の物価は銚子一本100円なりだったそうだ。国民はもう忘れたかもしれないが、政府の仕打ちは冷たかったのだ。

本としての評価は難しいところだが、砂漠での放浪、チベットでの生活、ヒマラヤ越えの恐ろしさ、これらはなかなか得がたいものがあり、「月の砂漠を、はるばると・・・・」の詩のようなロマンなど甘い甘い・・・という事みたいですよ。

これを書いた後、サムライさんのいわれた「みち」の天童さんの書評を読んだ。そうか・・・私の読んだのはどうもダイジェスト版のようだな、肝心なところが抜け落ちているみたいだ。どうもつじつまが合わないと思った。
全巻を読めば多少違う印象になるかもしれないが、やや申し訳ない。しかたないですね。
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by sibanokuni | 2009-10-10 09:50 | シバちゃんのため息
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