シバちゃんのため息

被害者のお世話係りを出来ますか?

いま注目の映画、「沈まぬ太陽」を見てきた。三時間を越える長い映画だったが、最後まで飽きることなく、あっという間に終ってしまった。つまり、大変によく出来ていて、これだけの濃い中身をよく三時間にまとめたなと感心してしまった。
山崎豊子先生の力作だから一本の小説の中に彼女が何を描きたかったのか、やはり原作を読まなければダメなんだろうが、まあ、今回は映画だけでそれを読み取ってみよう。
週刊新潮で連載していたのは知っていたが、あまり楽しい内容ではなさそうなので、まったく読まなかった。読めばよかったかな・・・・。

この映画にはいくつかのエッセンスが入っている。ひとつは東大出のエリートが組合委員長として、あまりに正義感を持ったがために一生冷や飯を食ってしまうという男の姿(渡辺謙演じる恩地)と、逆に経営陣に誘惑され仲間を裏切っていく同僚のエリート(三浦友和の演ずる行天)との対比。そして、企業経営側が組合活動を妨害するために御用組合を作り社員を分断していく様子。さらに、組合の同僚や部下が会社の嫌がらせで悲惨な目にあうところ。最大のポイントは、ジャンボジェット墜落の被害者家族でのお世話係の苦難の道。もうひとつは国策会社としての巨大航空会社が巨大ゆえに政治家や省庁に干渉されてゆくドロドロ。・・・などなど。
そして最後にヒューマンドラマとして、仕事のために家庭がおろそかになり、親子関係や夫婦関係がズタズタになってゆくところ・・・・。
まあ、これだけの事を三時間ではむしろ無理だったかもしれない。だから全体としての突っ込みは中途半端なのかもしれないが、最初に言った様に言わんとすることはおおむね受け取れた気がする。仮に不満があるようなら原作を読めばいいのだ。彼女の事だ、うんざりするほど詳しく書いている事だろう。私としては十分に満足出来る内容だった。

ただ、映画の中の首相は現実は中曽根だし、三顧の礼で航空会社の会長に就任するのはカネボウ会長の伊藤氏である。映画の中では二人がえらく立派に描かれていて、どうなんでしょうね。当時の運輸大臣は橋本龍様かな?たぶん、山崎さんは龍さまが嫌いだったんだろうね。

ひとつ、これだけは言っておきたいのだけど、いくら仕事でも、被害者遺族のお世話係など私にはとても勤まらないという事である。家族を、あるいは夫を、女房を失った遺族に対し、JALの社員がどのように対応したのか想像もつかないが、考えただけで逃げ出したくなるような仕事ではないか。
「夫を返してくれ」、「責任をとれ」、「死んでお詫びしろ」、何の罪もない遺族として言いたくなるのはもちろんである。最終的に金銭でしかそれを解決するしか方法はないのもまた事実なのである。それは520名の飛行機事故でも、一人が死亡した自動車事故でも、何百万人が死んだ戦争でも、起こったドラマの数が多いだけで、基本的には何も変わらないことである。
少なくとも私は、被害者になったとしても加害者にだけはなってはならないと思うのであった。主役の渡辺謙のしぶい演技、そして裏切り者としてぴったりの三浦友和、そしてスパイ役のかわゆい松雪、みんな上手でしたね。

体育館に数百個の棺桶が並んだ映像は映画とはいえ、おそらく本物もそうだったんだと思う。航空会社の責任の重さは想像を絶する。
飛行機一機にあれほどの人間が乗っていることを我々はともすれば忘れているが、まったく際どい社会なのである。
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by sibanokuni | 2009-11-04 06:19 | シバちゃんのため息
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