シバちゃんのため息

新羅は九州にあったの?

現在、加治木さんの「KOFUN」(誰が巨大古墳を造ったのか」を読んでいる。一度さらっと読み、もう一度要点をまとめようとゆっくり読んでいるところだ。
非常にすぐれた研究ですごいなと思う反面、どうしても私には受け入れがたい事がある。それは、この本を読む限りにおいてであるが、彼は韓半島から日本へ支配者が渡来した事を断固否定していることだ。そして、何より倭国が九州にあり、もちろん卑弥呼も九州、高句麗も新羅も九州、百済はなんと、大阪にあったという。いくら彼の出身が九州でもちょっと無理があるのと違う?では韓半島には何があったの?

一番私と違うことは、彼は韓半島の後ろにまったく目を向けていないところである。いわゆる日本近辺で歴史を語っているのである。私は日本、あるいは半島が広いユーラシア全体の中で孤立して生きてゆけるわけがないと思っている。つまり、高句麗が中央アジアや中国地域からの脅威にさらされた時、まったくそれに無関心でいられるわけがないのである。
まあ、これは歴史観で済む話ではないと思うのだが。

ところで次の文を読んでいただきたい。

「新羅の36代景徳王は761年に九ヶ州五小京117郡293県に及ぶ地名改名を断行した。倭人の命名した地名を、ことごとく改め、その名残を一掃しようとしたのである。・・・それは4年前に新羅にやってきた日本の国使の無礼な態度に怒った王が、会わずに帰国させたというほど日本嫌いが底流にあった。・・・・唐代以前には新羅の官職名は全部「倭の名前」が付いていたのである。それがこの改革を期に倭の名残が一掃し・・・・倭の名残を拭い去る努力が払われたのである。」(「kofun」p135から137)

膨大な文章の一部だけを切り取って論議するのは申し訳ないが、この文章を読めば、これは新羅の地、すなわち統一新羅のことだから韓半島大部分の事である、その地名が倭名だったのである。誰が読んでもそうなるのだが、加治木氏はどうも違うのである。
新羅のもともとは九州南部にあったと述べ、大化の改新のときに半島へ攻め上り新羅を建国したと言いたいようなのだ。では、なぜその半島に倭名がついていたの?誰が名をつけたの?
倭国は九州にあり、そこは金春秋に亡ぼされ日本になった。それは私もそう思う。しかし、百済は大阪にあり、日本に統合されたと述べている。高句麗がどこにあったかというと、これの本国は熊本だったそうである。という事は唐は熊本まで高句麗を攻撃しに来たというのか?満州地域の高句麗は誰が支配したの?
天智天皇が金春秋だったのは同感だが、彼は半島へ赴き新羅を建国し、さらに大阪へ攻め入り日本を統一したというの?さすがに一人何役は無理じゃないの?

アー、頭が痛くなる・・・・もう考えたくない。
一つ一つの話はそれほどおかしくはないのだが、全体とすると私の頭はぶち切れそうである。読めば読むほど基本的なところが違っているとしかいえない。
とにかく全部が日本の中のことで、韓半島も日本人が占領したと言いたいわけだ。それほどまでに騎馬民族征服説が気に入らないみたい。もちろん私も江波氏の論は認めないが、それでも当時の学会の状況からすれば、まだマシなほうなのだ。
「KOFUN」においても「TAIKA」でも素晴らしい歴史解明をしていながらどうもおかしいのだ。
何がおかしいかといえば、やはり出発点がおかしいとしか言えない。つまり、卑弥呼がおかしいのだろう。
全部で4冊仕込み、後二冊読まなくちゃならないのだが、ちょっと考え込んでしまった。
そういえば、以前、この人の事を聞いたとき私は「言語学者は信用できないから・・・」と答えたような気がする。今それを思い出し、やはり私の考えは間違っていないと思う。
彼の頭には韓半島の上にある満州やさらにその奥であるモンゴル、シベリアの事がまったくないのだ。満州あたりで五胡十六カ国が大混乱で戦争を行っている時に半島がまったく影響を受けていないはずはないだろう。また、高句麗も新羅も百済も倭国も日本にいたとするなら韓半島は一体誰が支配していたというのだ。
唐や隋があたりまえのように支配するはずじゃないのか?でも、惜しいな、彼の考察は決して無駄じゃないのだ。ただ、結論ありきの研究なんだよね。この先どうしようかな・・・・・・?
いずれにしても魏志倭人伝という陳寿が書き残した司馬仲達への「よいしょ」記事を額面どおり解釈し、それを前提に歴史を積み上げてゆけば出来上がったすべては砂上の楼閣で、てっぺんに到達した時にはもう後戻りは出来ないのである。もったいないことだ。
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by sibanokuni | 2010-02-02 20:38 | マヨちゃんの古代史
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