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シバちゃんのため息

連載小説 ひとつぶの種 最終回

小説 ひとつぶの種

第二話 (最終回) お種ちょうだい

さて、今日は二回目、本来なら源平合戦を描きつつ超歴史大作を目指そうと考えていたが、専門が古代史で、それ以外を描くと教科書のような記述をする羽目になり、少しも楽しくない。また正史を元に書いてゆくことも、私の身上に合わない。
そこで今回はその後の頼朝と義経に関し、極めて短縮して記述することにする。

まず問題はなぜ頼朝が北条氏の応援を得ることが出来たかである。

さすがの清盛も頼朝というお種度の高い貴種を殺すことは躊躇した。なぜなら本部からの指令書を持っている以上、彼を殺せば国家反逆罪である。そこで、彼等とは部族が違う伊豆に流すことにした。
伊豆は日本の原住民が多く住み、その昔、東北から下ってきた新羅系住民と、桓武のころに関西から移住させられた高句麗系が不安定ながらもひとつの擬似独立国家を築いていた。
その伊豆に高貴な種を持つ頼朝が流されてくる。そこにいたのは伊勢から流れてきた野武士集団の、というより山賊といったほうがいい北条時政がいた。
いまいちうだつの上がらない北条氏であるが、頼朝を担げば周りの各部族もその元に集まるのではないか。そう考えたのだ。以下の発言はわかり易いように標準語になおしてある。本当なら◎X▲・・・ですが。

「おい、正子」「なにー、とうちゃん」
「あのよー、こんどどえりゃあ高貴な方がこっちへ来るちゅううわさだがや。」
「あー、しっとるよ。無茶苦茶評判になっとるがや。」
「ほんでよー、ええか、おまえ、うまく手なずけれんか?」
「よーゆうわ、日頃からあそんでばっかいるちゅーて怒るくせに」
「まあまあ、勘弁してちょ。こんどはええて、ワシが許すんだで」
「どすりゃあええの?」
「きまっとるがや、種をもらうんだがや」
「種もらうって、とうちゃんエッチ、セッ○スしろってか」
「まあええがや、目的のためには手段は選ばんちゅーじゃないか」
「まあええけど、嫌いじゃないから・・・」

伊豆で温泉三昧の日々を過ごしていた頼朝だが、北条正子の誘惑に簡単に引っかかってしまった。
かくして頼朝を利用し日本フランチャイズ直営店を開設、その専務に収まった時政だが、考えてみると弟の義経がいるではないか。
しかも彼はお種度が頼朝より上にあるという。
「おい、頼朝君」、「はい、父上。」
「京都にいる義経だが、あれはほんまに弟なのか?」
「いえ、あれは実は本部の社長の種付けで産んだ子ですから、私より格が上であります。あっちのほうがより貴種です。」
「しまった。そうきゃあ、あっちのほうがえりゃあのか。」
「はい、すいません。でも、彼はアジア総本部を作るため、しばらくしたら本社へ帰るはずです。」
「おー、そうかそうか、では、うちのほうはこれで安泰ってわけだ。」
「ただ、私の種ですと、私の子供は半分になり、その子供はさらに半分になります。そうすると日本フランチャイズ本部の資格はなくなりますよ。」
「そんな詳しいこと、本部はわかりゃあせんだろう」
「まあ、ねー、運がよけりゃあ」

北条家の失敗はこのお種度のことを忘れたことである。

さて、義経は天皇とも仲良くでき、気分上々のまま仙台の藤原学園に入学した。この部族は大陸から渡ってきた鮮卑族で、偶然だが、都の藤原家とは遠い親戚に当たる。しかも、大陸から大量の金を預かっていた。ぞくにM資金と呼ばれていた。この大量の資金を都にばら撒き、東北地方を安堵されていた。
義経は予定通り大学を卒業し、本部の指令により樺太からアムール川をさかのぼり、無事にシベリヤのクラスノヤルスクへ戻った。

「おー、義経ちゃん、よく戻ったな。元気してた?」
「はい、パパ。どえりゃあおもしろかったでいかんわ。」
「なに、変な言葉を覚えてきたな、それって変だよ。」
「変じゃないすよ、日本中、名古屋弁になってきとるがや」
「まあ、よいわ。これからは世界ワンワールドの時代だ。おまえはワシの直系のむすこじゃ。大カーンとして世界の統一をしてちょ。」
「父ちゃん、それ名古屋弁だがね。」

こうしてチンギスカンが誕生した。しかし、北条は藤原家の金に目がくらみ、なんと奥州藤原家を亡ぼしてしまった。なんて馬鹿な、金がそこで採取されているのではなく、大陸から物々交換で手にいれていたのだ。
亡ぼしてみて知ったのは、そこが不毛の地で、コンビニひとつない山間僻地だということだった。しかも、お種度のことを忘れ、頼朝を落馬させて殺し、さらには少ないとはいえ、お種度の残る跡継ぎも殺してしまった。

このことが後に引き起こされる元寇の原因になるとは北条氏一族は知るよしもない。

筆者からのおわび。
せっかく連載を始めましたが、もともと飽きっぽい性格で、これ以上小説の連載を続ける気力が残っていません。今回を持ちまして小説「ひとつぶの種」は完結とさせていただきます。
ところで私が初めて言い出した「お種度」は私の発案でありまして、これについては今後世の中で使われることがありましても、あくまでマヨちゃんの発明であることを明記のうえご使用いただくようお願いいたします。

 次回書くとしたら、「元寇、それはお種の交換だった?」、になりますが、当分は無理だと思います。
by sibanokuni | 2009-06-01 15:31 | 小  説
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ため息ばかりのシバちゃんと、ぼやいてばかりのご主人様、マヨの日記です。

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